▼担当学生記者
林香予子(21歳:取材時)
▼取材日
2002/3/13(水)
▼取材時間
10:00~11:00
▼取材地
児童養護施設・窓愛園
▼取材の雰囲気
取材は窓愛園の中の1室で行われ、子ども達は学校へ行っていたのでとても静かな中でお話を伺いました。子ども達のことを語るときの佐藤先生の眼差しには、とても温かいものを感じます。それと同時に、38年間、厳しい状況の中でも窓愛園の子ども達を、愛情をもって指導してきた信念の強さも伝わってきました。
自分の子どもも窓愛園の子どもも、子どもはみな、宝です
担当学生記者:
林香予子(21歳:取材時)
佐藤先生は大学を卒業してから38年間、ずっと窓愛園で児童福祉員をされてきました。これまでに関わった子どもの数は約400人に上るそうです。取材を通して一番強く伝わってきたのは、子ども達に対する佐藤先生の深い深い愛情でした。「どんなに大変な過去を持った子どもでも、幸せになってほしい。だからこそ悪いことは悪いと徹底的に教えなければいけない。厳しすぎてたとえ子ども達から嫌われても、その子が大きくなって結婚して子どもができた時に"ああ、そういうことだったのか"とわかってくれる。自分の信念は必ずいつかは子どもに伝わるんです。」窓愛園の子ども達が佐藤先生をとびきり信頼しているのは、このゆるぎない「父親の愛」があるからだと感じました。
先生が結婚された時、お給料が安くて家族を養うことが難しく、この仕事をやめようかと思った時があったそうです。でも、転職の為の書類を揃えに行った帰りの電車の中で「窓愛園の子ども達はこれからどうなるのだろう」と考えました。すると「やっぱり自分はあの子達と関わっていかなくてはいけない、彼らは自分を必要としているんだ」と思い、その書類は破って棄ててしまいました。お金や知名度ではなく、まさに信念一本で仕事を続けてきた佐藤幹雄先生。その素朴な風貌から出ているオーラは透明で、強くて、温かいです。佐藤先生はお金や地位でなく、必要とされているという直観でこの仕事を続けてこられました。だから佐藤先生からは濁ったものが感じられないのだと思います。私もその直観を大事にして仕事をしていきたいと感じました。
今は嫌われる存在でもいい。
同行学生記者:
臼井真希(21歳:取材時)
もし自分が先生だったら、生徒に嫌われたくないために変に気を使ったり、甘やかしてしまうかもしれません。でも、佐藤先生は「子供を本当にしつけるためには厳しさも必要。今は嫌われる存在でもいい。この子達が社会に出て困難にぶつかった時に厳しくしかったことが生きてくるんだ」とおっしゃっていました。こうやって、厳しく接した子達が不思議と社会に出た後も先生に会いに来てくれるそうです。嫌われ役になってしまうのを承知で、本気で厳しくする佐藤先生こそ、本当に子供達のことを心から考えている方なんだと思いました。厳しくすべき時には厳しくするのが本当の教育なんだな、ということを改めて感じました。
先生はとても情の厚い方でした。経済的にとても苦しい頃、県立の施設に移らないか、という誘いがあったそうです。行う仕事の内容はそんなに変わらないし、自分の生活がラクになるのだったらそちらに移ってしまうのが普通だと思うのですが、佐藤先生は窓愛園の子達への思いが強すぎて、施設を移ることができなかったそうです。「この子達と一緒にいられるのだったら、自分の生活が苦しいのは我慢しよう」こう思ったそうです。しょっちゅう裏切られたり反抗されたり・・・。それでも、この窓愛園という一つのところで何十年間もこの仕事を続けていらっしゃる佐藤先生の子ども達への愛情は、とてつもなく大きいものだと思いました。血のつながった親子ではないけれど、先生と子供達にしかわからない親子以上の深い絆というものがあるんだと思います。
子供達に幸せになってほしい
同行学生記者:
前田あや(19歳:取材時)
お話を聞いていて、佐藤さんは子供達を本当に大事に思っているのが伝わってきました。自分の子供も窓愛園の子供も区別なく大切に思っているとおっしゃっていました。お話の中で、とても印象的だったエピソードがあります。子供の権利について話していたときに、ある子が、「子供の権利は、自分が大人になったときにきちんと生きていけるように教えてもらうこと」といったそうです。
子供の権利といったら、普通は殴ってはいけないとか、好きなことをやらせろだとか、そういうことを主張する子供が多いと思います。でもこの言葉を言った子供は、佐藤さんの伝えたいことをしっかりと分かっているんだなと思います。佐藤さんは先生の中では厳しくて嫌われ役だとおっしゃっていました。でもいけないことはいけないとか、自分の信念を曲げずに伝えたいことは伝えると、いつかは分かってもらえるとおっしゃっていました。園にいる間にわかる子はあまりいないそうですが、いつかは分かってもらえると伝え続けていらっしゃるのがすごいなと思いました。子供のことを本当に大事に思っているからこそ、嫌われ役になっても伝えたいことを伝えているんだと思います。その信念が伝わってきました。