▼担当学生記者
神谷明日香(22歳:取材時)
▼取材日
2003/7/11(金)
▼取材時間
14:00~16:00
▼取材地
NICEのオフィス@新宿
▼取材の雰囲気
当日は、NICEのオフィスの一部をお借りして、お話を聞かせていただきました。当然ながら、同じ部屋にはNICEのスタッフがテキパキと働いていらっしゃいました。驚いたことに、スタッフのみなさんの若々しいこと!?恐らくわたし達取材メンバーとさほど年も離れていないのでは?!という印象を受けました。取材を通して、特に印象的だったのはコロコロと表情を変えながらわたし達の質問にひとつひとつお答えくださる開澤さんご自身でした。わたし達の質問に眉をしかめて思わずスタッフに助けを求めるシーンもありましたが、楽しいことが大好きとおっしゃるだけあって沈黙を笑い話で打破するところなど、開澤さんのお人柄に触れられた取材となりました。初めは緊張していた私も、次第に緊張をほぐすことがで、メンバー共々楽しい時間を過ごすことができました。
ここまで見ても良いのかと少し戸惑いを感じるほど、開沢さんの素顔に触れられた気がします。思わず笑ってしまうようなエピソードから、より良い社会にかける真剣な思い、そして何より飾らない身なりやしぐさ。どれをとっても開沢さんのありのままの姿であり、そんな姿を初対面の私たちに見せて下さいました。その事実が妙に嬉しくて、時間が経った今でもお会いできてよかったぁという満足感を感じています。
ここで注目したいのは、この嬉しさの正体、つまり満足感です。しどろもどろの取材で反省すべき点は多かったのに、どういうわけか私は満足感に包まれています。この満足感を与えてくれた仕掛け人が開沢さんであることに間違いありません。でも、開沢さんが私にしてくれた事とは、例えばお茶菓子にケーキをだしてくれたとか、あるいは手土産をもたせてくれたとか、モノに関わる事ではありません。ただ、笑ったり考えたりしながらありのままの開沢さんを語ってくれたことなんです。
なぜかと考えたときに、私は自分が大切にしてきた思いにはっきりと気付きました。私はモノではなくヒトから満足感を得ているということ、また、その思いは過去の経験からきている、ということです。
取材の帰り道、ヒトとモノであふれかえる新宿が哀しく映りました。こんなにヒトがいて、こんなにモノもあるのに、みんなどこか怖い顔をして、さらに何かを求めようとしている。大切なことはすぐそばにあるのに、日々の忙しさを言い訳にそれに気付けないでいる。そんな社会の構図が悲しく映りました。何とかしたいと思いました。これからの目標は、この思いをどうやって社会に還元していくかだ思います。焦らず気負わず探していきたいと思います。
開澤さんは「目の前に耕されていない畑があると行動を起こしたくなる」と仰っていた通り、好奇心がとても強い方で、好奇心を抱いたことには必ず行動を起こす、という生き方をしてきた方でした。例えば、大学1年の時のエピソードでこんなものがありました。
三宅島に空港を作るかどうかについて、賛成派・反対派の意見が新聞に載っていたのを読んだ開澤さんは、「三宅島、何か熱い」と思い現地に飛び、住みこみでボランティアを始めたそうです。新聞記事を読んだだけで行動に移すということは、新聞を読む人には平等に行動を起こすチャンスがあるはずですよね。だけど、実際に行動を起こせる人って、そう多くいないと思います。
「だって、やろうと思っても、どこから始めたら良いかわからないよ」これは私が以前言い訳のように口にしていた言葉です。行動できないことを、周囲の目のせいだとか、自分を取り巻く環境のせいだとかに押し付けていて甘えていました。この三宅島のお話を聞いていたら、「どこから始めたら良いかわからない」だなんて、自分が情けなくて、反対におかしくて笑えてきました(笑)。
また、開澤さんが「目指しているものに対して、ステップを踏んでいるんだけど、まだまだ自分が無力であると感じるときに辛い」と仰っていたのが印象的でした。お話の中で言えば、海外ボランティアをやっている一方でアメリカ対イラク攻撃が始まってしまい、現地を思うと無力な自分を感じる、というようなことでした。
自分の仕事の辛さを質問された時に、戦争という国家間の争いについて感じたことを話せる方って本当に少ないと思います。開澤さんの生き方や日常が「社会を良くしたい」という思いで満たさせていることや、開澤さんの人間的なスケールの大きさを取材中に感じ、とても勇気付けされました。
ワークキャンプやその他海外での体験、その中で見てきたモノ、出会った人々という背景があるからこそ堂々と言える言葉ではないかと思います。
「日本に生まれてきたということはそれだけでもラッキーだ」というようなことをおっしゃっていました。日本はどんなに不況だといっても、飢え死にする人はほとんどいない。だったら、好きなことをやればいいじゃない、と。
世界を見て、日本を見て、NICEの活動をしている開澤さんならではの言葉ですよね。私にとって、本当に「かっこよい」大人の方でした。 仕事にしても、生き方にしても既存の枠組みにとらわれず、道を切り開いていくような方です。そのときそのときで、「やるべきことを精いっぱいやって」いる。だから、過去を振り返って後悔するようなこともない。「悔やんでも意味がないですよね」とはっきりと仰っていました。
心に響く言葉、私好みの言葉が度々登場した取材となりました。
本当にものすごく行動力のある方で、自分が興味のあるものにはまっすぐに突き進んでいく方で、お話を聞いていて何度も驚いてしまいました。そこで、いつもどのような問題意識を持って行動されているのかとても興味があり、お尋ねしたのですが、「特に何も考えていなかったよ」と仰いました。このやりとりの中でこの方は「考える前に行動する方」だという考えを持ちました。
この取材を通して開澤さんから聞き出したかった点は二つありました。
まずは、放浪の旅を決めた理由です。開澤さんは大学在学中に一年休学をされて、放浪の旅に行かれました。そこで今のお仕事に原点であるワークキャンプとの出会いがあったそうです。この問いに関するお答えは、正直自分と重なる部分が多々ありました。私は1年間留学した経験があるんですが、留学を決めた際に感じていたこと、考えていたことが全てではないですが重なりました。開澤さんはこの旅をする前に、自分は飽和状態だったとおっしゃっていたこと、まずは色々なものを見て、ネットワークを作りたいと仰っていたことが心に残りました。この二つの答えを聞いて、この方は行動する前にもしっかりと自分のスタンスを決めて行動されているんだなと考えが大きく変わりました。
次になぜNGOなのかということです。上に書いた自分のスタンスであったり、立ち位置を見る目。これがこのNGO団体の立ち上げに関わってくると思います。開澤さんは「世の中を変えたい」、「社会的ニーズがある」、「若い自分が今出来るのはこれだ」という明確な考えを持って、開澤さんご自身が出来る事はNGOを立ち上げて自分のメッセージを伝えることだと仰いました。
力強い行動力とその裏に隠された客観的に自分の立ち位置をみる力、自分には無いものをまた一つ発見できた、とても有意義な取材でした。