▼担当学生記者
飯田薫(20歳:取材時)
▼取材日
2004/5/9(日)
▼取材時間
14:00~16:00
▼取材地
ナビゲーターさんのお教室@北鎌倉
▼取材の雰囲気
取材場所は北鎌倉の川口さんのお教室でした。取材には奥様も同席され、お菓子や飲み物も用意していただけました。川口さんは終始穏やかで、リラックスした感じでお話をしていただきました。取材後には川口さんがメンバーに質問をしたりと、ナビゲーターさんとのコミュニケーションが出来た取材ではないかと思います。
『画家という不安定な職業をどうして今まで続けることができたのか』、という問いに対して出てきた言葉だと思います。ぱっと私の中に入ってきた言葉でした。川口さんと絵の関係が表れた言葉だと思いました。
この取材を通し終始感じていたことは、川口さんにとって絵がどれほど大きな存在か、川口さんがどれだけ絵を好きか、必要としているか、ということでした。これが、今の私との決定的な違いでした。画家になる、画家であるってどういうことなのか。自分の中での絵の存在の大きさ。それが、まったく違う。でも、川口さんを見ていて、その自分の現状を自然に受け入れることができました。気持ちの大きさの違いは自然なことだし、どうすることもできない。私は私なりに絵を描いていけばいい。無理やり気持ちをこじつけるなんておかしいし、不自然だ。自分の気持ちに正直に、私なりに、私の方法で物事に向かっていこうと、そう思いました。
川口さんは、何の職業につくにも決められた道筋・やり方があるわけではないとおっしゃっていました。それまで全く違う仕事をしてきた50歳の人が画家になることもある。サラリーマンだった30歳の人が会社を辞めて合気道の師範になることもある。40歳から思い立ち、会社を辞めて音楽大学に入る人だっている。そのときに大事なのは、それまで何の仕事をしていたかではなくて、それまでにどういう経験をしてきたか、それまでにどれだけ自分について、また様々なことに対して考えをめぐらせて深めてきたかが大事だとおっしゃっていました。その都度その都度、真面目に考えて真面目に勉強していけば、職業名は後からついてくるものだと。
何かの職につくのに決まりきったルートはない。これを聞いてまず思い浮かんだのは「自由」という言葉でした。自分がこれから進む先には何か決められたレールがどこまでも敷かれているわけではないし、何か決まりきったところに収めらてしまうわけでもない。いろいろと経験しながら学びながら働き方は変わっていったりより高度になっていったりするんだな、と思いました。先日のラウンドの内容でもありますが、自分自身が大切にしたいことをしっかりと考えて、今自分がやるべきことをきちんとこなしながら、一歩一歩進んでいけば良いんだ!と元気付けられた取材でした。
この職業に就くにはこうしたら良いという決まったものが無い、だからこそ自分が何がやりたいのか常に考えつづけて、真摯に物事に取り組んでいく必要があるとおっしゃっていました。考えることをストップさせてはいけないと思いました。やりたいことをまずやる、職業名は後からついてくるもの、とおっしゃっていてその通りだと思いました。
ほかに心に残ったのは、絵を描くことの99.99%はしんどいことで、残りの0.01%だけが楽しいことだそうです。その楽しいというのは作品が出来上がるときで、そのときに次の作品を描くエネルギーを蓄えるそうです。それを聞いて思い出したのは、私は課題のレポートを書くのが好きなのですが、いつも始めのうちは書く内容がなかなか深まらなかったり、まとまらなくて投げ出したくなります。でもしばらく考えつづけて、考えをまとめていって、自分なりの結論が生まれて、完成し、最後ホチキスで紙をとめる瞬間の達成感がとても好きです。つらいことのほう多いけど、仕上がるときの喜びがカバーしてくれるということは何となく分かる気がしました。
これはどんな職業になるにも決まったレールを目指すのではなく、自分の人生は自分の一生なのだから、常に何をやりたいかを考えて、そのためにどうすればいいか、何を勉強すればよいかを考えていれば、自分のやりたいことができるようになるということです。そして、そうしていけばたとえそれが今までにない職業だったとしても後から名前がつけられたりして、職業として名前になっていくとおっしゃっていました。
大事なことは、こうなるにはこうやればいいとかマニュアルなんてないのだから、そのつどまじめに考えて、まじめに勉強するというように、真摯にものを考えることだそうです。苦しいかもしれないけれど、考えなければ始まらないとおっしゃっていました。川口さんが留学したウィーンの子供は教育環境がそれぞれの子供によって異なり、学ぶ年齢や年数もそれぞれ違うし、早いうちから働かなければいけなかったりするので、小学校4年生でも将来について考えざるを得なくて、本来考えなければ大学にも行けないとおっしゃっていました。その点我々は何を勉強したいとか将来どうしたいなど、考えることなく当たり前のように大学に通い、就職前になって始めて考えようとするのできついのだと思います。
確かに僕は以前までそのように自分でどうしたいかをあまり考えてこなかったんだと思います。しかし、僕はここ最近考えることのスタート地点に立ったのだと思います。そして自分で考えていくうちに自分がこれからどうしていきたいのか、何をやりたいのかということが、見え始めました。だからこれからもあらゆる局面で考えるという作業をしていけば自分のやりたいことや他の様々なことについて自分のなかでもっと深く掘り下げていけるのではないかと思います。
この感じ、わかると思いました。奥さんが画家は孤独なものとおっしゃっていたように、川口さんはアトリエの中で描いていると、自分の中でわからなくなっていくそうです。こっちをとるか、あっちをとるかどっちの技法にするかは個展に出して、はじめてわかるとおっしゃっていて、川口さんは絵が仕上がるまでは絵とのせめぎあいで、絵に入り込んで駆け引きをしているそうです。
それで、絵を描くことは99.9パーセント苦しみ0.01パーセントの喜びとおっしゃっていました。できた瞬間が喜びなのだそうです。好きか嫌いかと言われればやめられない。一度経験すると、繰り返しエネルギーが湧く。絵には持ってる魔力があってやめられないそうです。
あのドキドキ感を味わうと、「もっとやりたい、もっとやりたい」となって抜けられなくなるのだなと思いました。私もそういう感じをかつて経験したなと思いました。それは予備校の現代文の授業だったのですが、その授業で新しい文章を読むのが本当に刺激になって面白く、「もっと読みたい、もっと読みたい。」となっていました。今はその文章のみにそんなにはまるということはないです。なんでなのかな。と考えたら、それは思想系の文章で、うまく言えないのですが、私はその中に現実のほんとうがあると思っていて、どんどん現実を離れて頭の中だけで考えてぐるぐる悩んでしまっていて、そればかりの世界にいると、何もならないなという感じがしたからです。思想は現実の行動があって、役に立つのだととても思いました。今、私に大切なのは実践することなんだ。と思います。私に大切なことは行動して、実感を得て、それについて考えるということだと思います。
また、川口さんは率直に答えてくださったな。という感じをうけました。やっぱり、率直に述べる人はとても素敵だなと思います。私は自分の思ったことをきちんと言えなかったな。とか、隠してしまったな。とか、とっさに取り繕ってしまったな。ということがあるから、率直な人にとても魅かれるのかなと思いました。私は率直だなと感じる人を信頼するのだと思いました。私も率直に話せると、とてもすがすがしい感じがします。言えなかったなと思ったら、そこにも自分を知るヒントがあると思いました。何で言えなかったのかなとまた考えてみようと思いました。