▼担当学生記者
塩島由依子(23歳:取材時)
▼取材日
2004/9/29(水)
▼取材時間
17:30~19:15
▼取材地
鎌倉常磐クリニック@鎌倉
▼取材の雰囲気
真新しい診療所の一番奥の部屋で取材をさせていただきました。泰川さんは、私たちの質問に対して一つ一つ丁寧に、そしておもしろいエピソードを織り交ぜながらお話してくださいました。特に、宇宙やロケットについて、目を輝かせながら語る泰川さんの姿が印象的でした。宮古島のお話もたくさん伺うことができたこの取材は、青い海に囲まれた宮古島を思い浮かべながらの取材となりました。
取材後、取材を終えたことにほっとしてしまい、大興奮ではなく、頭の中は真っ白でした。ただ時間が経つにつれ、心がぽかぽか温かくなるんです。
アメリカ統治中の宮古島に生まれた泰川さんは、那覇、イギリス、東京と引っ越しをしました。イギリスでは、宗教も異なりますし、日本国籍もなかったので友達の中には入りづらかったそうです。しかし日本人という証がなかったという経験をされたからこそ、泰川さんは人を宮古島の人、鎌倉の人など住んでいる地域に結びつけて見ています。日本人よりもっと細かく人を見ていて、ちゃんと人と向かい合えるから温かい印象を与えるのだと思いました。
私は人と接するとき、相手の背景が気になります。しかしそこには、ちゃんと相手と向かい合いたいと思う自分もいます。私は泰川さんのように人を見られませんが、それでも後者の自分を大切にしたいと思いました。
おおーと思った一言です。かっこいいです。私は、いったん苦手意識を抱くと、いやだいやだ、と避けてしまいます。苦手なものに挑戦していって、無力さを感じることに恐怖があります。自分の好きなものを並べたきれいな世界を守って、弱いところから逃げていたんだと思います。
でも、今では、自分ができないことを知るのは、恥ずかしいことでもなんでもないし、むしろ、出来ないことを知ることがスタートラインなのではないかと思い直しました。泰川さんの姿勢を、すぐに取り入れてみようと思います。
手術がうまくいかない時このように思うそうです。悩んでいる時このような心持ちで、苦しい状況でさえも楽しんでしまう人になりたいです。泰川さんはこのような遊び心を持ち合わせているからこそ「いつ死んでもいい。」と言い切ってしまえるぐらい1日1日充実して過ごせているのではないかと感じました。
「自分が医者をやれるのは後10年ぐらいだから、若い人を育てていきたい。」まだ何になりたいのかはっきりしない自分にとって、先を見据えて、職業的寿命を口にする泰川さんには衝撃を受けました。(自分のことを考える事で精一杯の自分とは全く異なったので。)これが大人の在り方なのかと感心しました。
泰川さんには安心感を感じました。身に付けようと思って、身に付けられるものではないけれど泰川さんのように誠実に物事に取り組み人と向き合えば、いつか素敵な大人になれるのではないかと思います。
これは秦川さんに、医者をされていて死が日常になってしまう事はないのかという質問をした時の言葉です。秦川さんは部屋にある等身大の鏡を見せてくださいました。末期の患者さん、特に告知をする際には、患者さんの後ろに置いた鏡を通して、その時の自分の顔・姿を確認しているそうです。今の自分にはいつわりはないだろうかと。秦川さんは常に目の前の人に全力で接していて、その気持ちが相手にも伝わり安心感を与えているのではないかと思います。また同時に自分と葛藤する毎日でもあるんだなと思いました。
今回は生と死の考えに触れる初の取材でした。秦川さんが「いま死んでもいい」と言われた時、意外な言葉だったので驚きましたが、それ程やりたい事をやっている満足感があると思います。遠くにあった死を意識する事によって、今いる時間の重さを感じました。
泰川さんは目のつけどころがとても鋭いと同時に、自分の価値観を信頼し、実践できる、勇気ある方だなと思いました。このオンリーワンワードは、若者へのメッセージを伺ったときに話してくださった言葉なのですが、他にも「自分ができそうもないことはやってはいけない。でも、みんながやりそうも無いことをやってみると意外とできる」という言葉を投げかけてくれました。
救急医療の整備、離島での訪問・在宅医療システムの確立、電子カルテの開発、そして都市と離島を結んで訪問医療システムの恒久化を図る取り組み... まさに、本来やるべきなのに誰も面倒くさがってやろうとしないこと、に真正面から取り組んできた泰川さんならではの言葉です。
僕はこの泰川さんの姿勢がとてもかっこいいと思います。社会的に必要とされており、大きな評価や報酬が約束されていることをしたい人はたくさんいるでしょう。しかし、本当にすごいのは、誰も注目してはいないが実は社会が切実に求めていることを発見して実践してきた泰川さんのような人だと思います。しかも、「非現実的な未来を見ていたほうが、...」と言う泰川さんが実に現実的に、計画的にものごとを考えている、というギャップにもしびれます。確かに現にある何かしらの問題を解決するには、現状維持ではだめで、まずポーンと非現実的であっても理想像のようなものを描く力が必要なのでしょう。そもそも、そいう非現実的な未来を描くこと自体が問題に気づくための第一歩なのかもしれません。しかし、理想を理想のままで終わらせないためには、強い熱意とクールな頭が必要なのだろうな、と泰川さんの話を聞いて思いました。だから「意外と簡単」という感覚は正直ちょっと想像つきませんが、本当だとしたら快感でしょうね。
誰が造ったものとも知れないものさしに振り回されつづけそうで怖い僕ですが、今回、「自分がやりたいこと」「社会的に必要とされていること」のほかに、「みんながやらなそうで自分ができそうなこと」という新しい考え方の軸を手に入れられてよかったと思います。